オランダに Appeltaart のレシピは山ほどあり、誰がどう作っても不味いものを作る方が難しいのですけれど、ものすごくあけっぴろげな友人が「むむ、これは Appeltaart 自慢の XX のよりおいしい」とポロっと言ったため、「実名を挙げるな!」と周りが一斉に突っ込んだというイワク付きのレシピをご紹介します。
元々は、渡蘭してすぐの頃、スーパーマーケット Dirk van den Broek で買った Zelfrijzend bakmeel(膨らし粉入り小麦粉)に記載されていたレシピ。最初は辞書を片手に訳しながら作りましたが、何度も作っている間に、砂糖の量と作業工程を減らしに減らし、このレシピと作り方に落ち着きました。
ほとんどがリンゴでできてるので、これはケーキではなく果物だと、ウインクしながら断言するオランダ人もいる国民的焼き菓子。オランダでは、Appeltaart で有名なカフェやケーキ屋さんだけでなくスーパーマーケットでも簡単に入手できますが、家の中が美味しそうな香りに満たされる至福の時は、買ったものでは味わえません。難しいテク不要ですので一度お家で焼いてみてください。(オランダのケーキにしては)甘さ控えめレシピなので、シナモンとリンゴが嫌いでなければ、お気に召していただけると思います。
【レシピ】OHAYO!Appeltaart オランダ風リンゴケーキ
( 材 料 )
= ケーキ生地 =
- 300g Zelfrijzend bakmeel(膨らし粉入りの小麦粉)もしくは薄力粉+ベーキングパウダー。下記*1参照
- 75g Suiker(砂糖)オランダではグラニュー糖がメジャーですが、甘味なら蜂蜜でもなんでもあり
- 175g Boter(バター)溶かしたり常温にしておく必要なし
- 1 Ei(卵)1個
- Zout(塩)一つまみ
= フィリング(具、中身) =
- 1~1,5kg Appel (リンゴ)
- Citroensap (レモンの絞り汁) 大匙1ぐらい。なければ(リンゴ)酢や食用クエン酸でもOK。
- 2 eetlepel kaneel (シナモンパウダー)量ったことないけど大匙2ぐらい?
- 2 eetlepel paneermeel (パネールメール。こんがりさせたパン粉みたいなもの)大匙2ぐらい。下記*2参照
- Handje rozijnen(レーズン)一掴み
…… お気付きかと存じますが、フィリングはいつもフィーリングで作ってます。ハイ、テキトーでも大丈夫です。
( 道 具 )
- 直径22―24cmぐらいの Springvorm と呼ばれるバネ式ケーキ焼き型。(なければ缶や耐熱容器でも可)
バターを塗って小麦粉をはたくか、ベーキングシートを敷いておきます。
← 底と側面を切り貼りするのが面倒なので、横着して大きいベーキングシート1枚を型にはめ込むようになりました。側面をキレイに仕上げる必要がなければ、逆に焼いてる間に果汁が沁み出したりしないので好都合だったりします。 - 大きめのボウル1つ
- ふるい(なければザルでもOK)
- はかり
- ナイフ2本もしくはポテトマッシャー(バター切り混ぜ用)
- 食品用ラップ(生地を休める時用)
- オーブン(焼き時間は175度で75分)
< 作 り 方 >
- ボウルの中で、粉と砂糖をふるいにかける。
- バター、卵、塩を加え、ナイフ2本もしくはポテトマッシャーを使って、ぼそぼそとした生地になるように、バターを切る要領で生地を混ぜ合わせる。捏ねる必要はなし。
- 生地を手で一つにまとめて、ラップに包んで冷蔵庫に入れて寝かす。前日に作っておくことも可。(このときに、球ではなく直方体にしておくと、後で切るときにラクチン。)
- 縦4等分に切り、皮を剥き、芯の硬いところを取り除いたリンゴを、ひたすら薄いいちょう切りにし、生地で使ったボウル(洗う必要なし)に無心で放り込む。
- リンゴにシナモンパウダーと砂糖、レモン汁を加え、よく混ぜる。ボウルごと、中華の炒めもののコツでひっくり返すと、全体的に早く混ざるが、あまり勢いよくやりすぎると、シナモンが舞い散るのでほどほどに。
((( 我が家のオーブンは、この時点でスイッチを入れるとグッドタイミング。 ))) - 冷蔵庫で少し落ち着いた生地を、5mm ぐらいの厚さにスライス。飾りに4分の一ぐらい残して、クッキングシートを引いた型の内側全体に、生地を貼り付ける。
- 生地を敷きつめた底全体に広がるように、Paneermeel とレーズンを振り入れる。
- 型にリンゴをどさっとぶちまけて、表面を馴らす。その時のリンゴの量によって、ケーキの高さが違ってきますが、大勢に影響はありません。
- 残りの生地を細く切り、ケーキの上で交差するリボンのように飾る。
- 175度のオーブンで75分焼く。
焼きたて、もしくは翌日がおいしいと言われます。でも、オーブンから出してそのままのアツアツは、中身のリンゴが殺人的に熱いのでお気を付けください。お好みで Slagroom(スラッフローム。ホイップクリーム)を山盛りに添えて召し上がれ。
* Zelfrijzend bakmeel(ゼルフライゼンド バックメール)は、オランダではどこでも手に入る市販の「膨らし粉入り小麦粉」という商品です。各メーカーのものが売られていますが、基本的に、500g の小麦粉に15-20g のベーキングソーダと塩少々を入れたものらしいので、そこまで繊細さを必要としないこのケーキには、テキトーに Baksoda(バックソーダ。ベーキングソーダのこと。Bakpoeder ベーキングパウダーとは別なもの)を加えた小麦粉 300g で大丈夫でしょう。
** オランダでは、Goudrenet や Goudreinette という表記で売られているリンゴが Appeltaart 用として有名ですが、基本的にどんなリンゴでも美味しくできます。私は、べちゃっとせず、軽く仕上がる Jonagold が好みです。
** Peneermeel (パネールメール)の Wikipedia 日本語版ではパン粉になってますが、パン粉というより、細かく砕いたラスクという感じでしょうか(甘くはないです)。レーズンと一緒に、リンゴ果汁、過剰水分を受け止める役目をするものなので、フライパンやオーブントースターなどで香ばしく炒った日本のパン粉を、手で揉んで細かくしたもので代用できると思います。
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